目次と概要

タイトル「材料の基礎熱力学(改定2稿)」

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目次

まえがき 

1章 理想気体とファン・デル・ワールス気体

2章 仕事と熱 

3章 仕事とベクトル場 

4章 熱力学第2法則とエントロピー 

5章 熱力学における変数と関数

6章 平衡状態とエントロピーの極大

7章 種々の熱力学ポテンシャル

章 1次相転移の熱力学 

9章 気体の熱力学 

10章 溶液の熱力学 

11章 化学平衡 

12章 相図の熱力学

概要(まえがきより)

 本書は材料科学・技術への適用を念頭に置いた,熱力学の解説書である.特に,1次相転移と相平衡の基礎科学としての熱力学を意識している. 

 熱力学についての筆者の経験を語ると,それを最初に学んだときの印象は,「捉えどころのない学問」というものであった.熱力学に対するこのもやもやとした思いは,長い間解消されずに残った. 私見では,熱力学を学ぶ際に越えなくてはならない2つのハードルがあるが,筆者はそれらを容易には越えることができなかったのである.

 1つ目のハードルはエントロピーである.熱は温度とエントロピーの積として,d’Q=TdSと表されるが,困ったことに,QTSは,3つが3つ共に自明とは言えない物理量である.もちろん熱や温度は日常で普通に使われる語彙ではあるが,いざそれらを簡潔に説明せよと言われれば,今でも冷や汗が出る.いわんやエントロピーをや,である.筆者にとってd’Q=TdSは,「よく分からないもので,よく分からないものを表している」式であった.対照的に,仕事が圧力と体積の積により,d’W=PdVと書かれることには何の疑問も抱かなかった.高校レベルの力学によっても仕事の意味は十分に理解でき,圧力と体積は自明の物理量であったからである.

 霞がかかったような筆者の状況に光が差したのは,エントロピーに関するカラテオドリとボルンの理論に出会ったときである.彼らの理論を知ることで,少なくとも,熱を表すためになぜTSという2つの状態変数が必要なのか,という点で合点がいった.そして,エントロピーという言葉に,たじろがずにいられるようになった.彼らの理論に基づく,温度やエントロピーの理解は,形式的なものと言えなくもないが,比較的簡単な数学によって,熱力学の形式が明らかになる点で,その有用性には疑いがない.本書では,彼らに従って,エントロピーが導入される.カラテオドリとボルンの理論を学ぶにあたって困ったことは,日本語で書かれた解説書が少ないことであった.それが本書を執筆する動機の1つとなった.

 2つ目のハードルは種々の熱力学ポテンシャルである.筆者の場合,熱力学ポテンシャルUHFGが現れる度に,混乱が増して見通しが悪くなった.何より「自然な変数」という,分かったような分からないような言葉に閉口した.自然な変数と自然でない変数の違いが腑に落ちるまでには,エントロピーと同じように長い時間を要した.本書では,エントロピーの導入と熱力学ポテンシャルの解説に,かなりのページ数を割いている.この2つのハードルを十分な高さをもって越えることが,熱力学の理解にとっての王道と考えたからである. 

 この本では,本文の中に「問題と解答」が挿入されている.これには目を通して頂きたい.「問題と解答」は本文の一部を成すものとして書かれているからである. 本書を妻と2人の子供に捧げる.彼らの励ましとサポートなくしては何事も進まなかった.

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